【不動産売却】親族間売買 完全ガイド
- M.MIYA
- 6 日前
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京都市中京区の不動産屋、六連京都です。
本記事のテーマは、親や子、兄弟姉妹などの親族同士で不動産を売買する「親族間売買」。
実は、相続など将来を見据えて自宅や土地を家族に譲りたい、または住み続けたいというご家庭にとって、とても身近で便利な方法です。また、親族間売買は、相続において遺産分割協議で整理しなかった不動産の相続後の整理としても有効です。
しかし、「親族間売買」は一般の不動産売買と比べて難しいポイントが多数存在します。注意すべきことや制限、リスクなども多く、誤った知識で進めてしまうと後で大きなトラブルや税負担に発展することもあります。
この記事では、不動産のプロが親族間売買の基礎からメリット・デメリット、ローン活用や注意点、成功させるポイント、かかる税金や費用まで徹底解説します。これから親族間売買を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

<目次>
1.親族間売買とは?わかりやすく解説します
親族間売買とは、親や子、兄弟姉妹といった「親族」間で、不動産(土地や建物)を売買することを指します。例えば、父親が所有する自宅不動産(居住中の戸建、マンションなど)を娘さんに売却するケースがこれにあたります。
相続や将来設計の一環として行われることの多い親族間売買ですが、一般の不動産売買とは異なる法的・税務的な取り扱いがなされるため、きちんと知識を備えることが大切です。
2.一般の不動産売買と親族間売買の違い
一般の不動産売買は、赤の他人同士が市場価格を基に取引します。これに対し親族間売買は、家族間という近しい関係性での取引となります。ゆえに、身内ならではの事情が反映されがちとなります。しかし、「相場からかけ離れた価格」や「形式だけの売買」は認められません。税務署による調査も厳しく、適正な売買契約や価格でない場合は「贈与」とみなされ、予想外の贈与税が発生します。また、金融機関の住宅ローン審査はとても慎重となる傾向やそもそも親族間の売買への住宅ローンは認められないことが大半です。
3.親族間売買のメリット・デメリットとは
【メリット】
- 相続対策や資産承継がスムーズにできる
- 他人に知られることなく売買ができる安心感
- 家族内でスケジュールや条件調整が柔軟
【デメリット】
- 市場価格を無視した取引は高額な贈与税リスク
- 金融機関からの住宅ローン審査が厳しい場合がある
- 親族間ならではの感情的なトラブルや後々の相続争いのリスク
- 税金や諸費用が意外と高額になるケースも
総じていえば、取引当事者間においては、近しい人との取引のため、一般の取引よりもストレスも少なく、柔軟に対応することができると言えます。
一方、対外部においてはそうではありません。デメリットの項目に対外部の取引関連の項目が並んでいることからもお察しの通り、何かを隠していたり何かを逃れようとしていたりなど関係者不正な取引がないか、厳しい目線でチェックされてしまいます。
4.親族間売買が難しいとされる理由とは?
親族間売買が難しいと言われる最大の理由は、税務署や金融機関による「不正防止」の厳しいチェックです。特に、適正価格から外れた売買は「贈与」と認定されやすく、多額の贈与税が課されることもあります。さらに、形式だけの“名義変更”とみなされないよう、きちんと実態を伴った不動産売買契約や金銭授受が不可欠です。また、金融機関も“資金移動”や“無理な貸し付け”、“資金用途偽装”を警戒するため、通常の住宅ローンより審査が格段に厳しいのが実情です。
5.親族間売買で住宅ローンは組める?金融機関の対応
親族間売買で住宅ローンを組むことは「絶対不可能」ではありません。ただし、取引価格が実勢相場に見合っていること、正式な売買契約が締結されていること、買主(娘B)に十分な返済能力があることなど、条件は非常に厳しく金融機関の審査は非常に厳格です。親族間売買の住宅ローンの利用はほとんどの金融機関で認めていないと思ってもらっても過言ではありません。
主要メガバンクやフラット35は原則受け付けていませんが、一部の地方銀行や信用金庫、信用組合、JAなどでは親族間売買でもローン相談が可能な場合があります。審査基準や対応は金融機関ごとに異なるため、早めに相談しましょう。
6.親族間売買における購入資金の主な調達先
地方銀行、信用金庫(直接相談がおすすめ)
信用組合、農協、労働金庫(個人相談が可能なケースあり)
その他、ノンバンク系ローン(注意が必要)
金融機関によっては「親族間売買はNG」と明記している場合もあります。しかし、親族間売買であることを隠してはいけません。必ず親族間売買であることを正直に伝えて相談してください。
なお、上記は個人で探す視点ですが、1番のおすすめは、まずは親族間売買を得意とする不動産仲介業者に相談し、プラン立てて調達先を見つけることです。資金の調達可能性が視野に入ったとしても、住宅ローンに比べて金利がかなり高いなど条件に注意して、考える必要があります。
7.親族間売買のリスクと注意点
親族間売買には「思わぬリスク」が潜んでいることをしっかりと理解する必要があります。
以下、不動産の「親族間売買」に潜む代表的なリスクと、住宅ローン審査で失敗しないための注意点をわかりやすく解説します。住宅ローン審査や相続トラブルを防ぐために知るべきことと断言できます。
親族間売買を成功させるために必要な手続きや税金面のポイント、次項にてトラブルの回避法もお伝えします。親子・兄弟姉妹間で不動産売買を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
【親族間売買で生じる3つの注意点】
①住宅ローン審査が厳しくなる
仮に親族間売買にて住宅ローンが利用可能と判断されたとしても、親族間売買では、住宅ローンの審査が一般の売買よりも格段に厳しくなります。その理由は前述の通り、「実態のない売買」や「贈与に見せかけた取引」と判断されやすいからです。
<よくある銀行からの要求事項>
売買契約の正当性証明(公正な契約書作成)
売買代金の資金移動証明(現金手渡しではなく振込記録)
取引価格の妥当性を証明する資料(不動産査定書など)
場合によっては自己資金(頭金)の増加要求
金融機関は不正や脱税を防ぐため、取引の透明性を重視します。住宅ローンを利用したい場合は、売買の全過程で「第三者と同様の厳格な手続き」を行うことが必須です。
②税務上のリスク―みなし贈与で高額な贈与税リスクも
親族間売買では「借金返済の肩代わり」「極端に安い価格」での売買が行われやすくなります。しかし、このような価格設定は、税務署から「贈与」と見なされる危険性があります。
―時価より安い価格設定はNG―
不当に安い価格では贈与税の課税対象となる可能性
適正価格設定は「不動産会社の査定書」や「不動産鑑定士の評価書」で証明を
―みなし贈与課税とはー
親族間売買で価格が時価よりも相当に安い場合、差額が贈与と見なされる
余計な納税リスクを避けるため、売買価格の設定は慎重に行なってください
③契約書・登記・資金移動など手続き面でトラブル多発!
親族間の安心感から、つい「口約束」や「簡単なメモ」で済ませてしまうことがありますが、これは大きなリスクです。
―必要な手続きと書類例―
正式な売買契約書(印紙税も忘れず)
所有権移転登記の実施
資金移動記録(振込による証拠残し)
また、第三者である不動産仲介会社に依頼すると、価格の妥当性証明や手続きサポートも得やすくなります。親族間トラブルや将来の相続争いも防ぎやすくなります。
上記の他にも以下のような留意点があります。
・親族間トラブルのリスク:お金のやり取りや名義移転が原因で関係がこじれるケース。
・税金や諸費用を見落とすリスク:不動産取得税・登記費用・譲渡所得税など、思わぬ出費が負担になることもあります。なお、親族間売買においては居住用財産を売った場合の軽減の特例措置の適用を受けることはできないので、十分に注意が必要です。
8.親族間売買で失敗しないための具体策
取引価格は必ず「時価」のもと設定し、証明書類も用意すること
売買契約書を正式に作成し、手続きを省略しないこと
領収書などの必要書類を徹底整備すること
取引資金は必ず口座経由でやりとりすること
兄弟姉妹など他の相続人とも十分にコミュニケーションをとり、法定相続人となりうる方とのトラブルが生じないように話し合いを済ませておくこと
専門家(不動産会社・司法書士・税理士)への相談
また、税金や手続きの疑問がある場合は、税理士や不動産の専門家に早めに相談することをおすすめします。
9.まとめ:親族間売買で後悔しないために
親族間売買は、安心して不動産を引き継いだり大切な資産を守るために有効な手段ですが、一方でトラブルや高額な税金リスクも潜んでいます。
関連機関では、一般の不動産売買以上に「透明性」と「公正さ」が求められ、安易なやり方は後々の贈与税トラブルや親族内の揉めごとにつながりかねません。
大事なご家族同士で「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、親族間売買は必ず不動産仲介業者や金融機関、税理士などの専門家をうまく活用し、正しい知識と十分な準備のもと、慎重に進めていきましょう。
親族間売買で失敗しないためには、今回ご紹介したリスクを事前に把握し、計画的に準備を進めることが大切です。
京都市中京区の不動産屋、六連京都株式会社では、親族間売買のご相談をいつでも受け付けております。
当社ならではのスキームもございますので、お客様のご状況を伺ったうえで、親族間売買の方法をいくつか提案させていただきます。
エリアは問わず、お困りでしたらまずはお気軽にご相談ください!